『楽・遊・学』平成25年12月号原稿

シリーズ わがまち港北

第180回 後日談いろいろ―その3

 

「わがまち港北」では、これまで大昔の古い話題をたくさん取り上げて来ましたが、その時々の時事ネタも書いています。最初の頃の時事ネタは、すでに歴史です。そこで、時事ネタの後日談を2回(第120回、143回)書きましたが、今回はその3です。
哀(かな)しい話題を1つ。「わがまち港北」第15回で綱島名物の日(じつ)月(げつ)桃(とう)を取り上げたとき以来、何度も取材にお伺いし、貴重な情報を提供していただいた綱島東の池(いけ)谷(のや)光(みつ)朗(ろう)さん(88歳)が逝去されました。光朗さんは、綱島に関する生き字引で、質問すると何でも詳しく教えてくださいました。以前に、所蔵写真の調査をさせていただいたとき、古い写真に写っている人物の名前をほぼすべて覚えておられることに驚嘆しました。
「現代は金さえ出せば、なんでも買えるし、作れるが、昔の民具などは今のこしておかないと...。後世に綱島の生きた歴史を伝えたい、と思いましてね」(1974年11月21日付け『神奈川新聞』)との発言は、光朗さんが49歳の時です。池谷家はかつて南綱島村の名主をしていた旧(きゅう)家(か)ですが、光朗さんは自家に伝わる先祖伝来の古(こ)文(もん)書(じょ)や民具を保存するだけでなく、若いときから地域の民俗資料も使命感を持って収集保存されていたのです。
光朗さんの祖父道(みち)太(た)郎(ろう)氏は、日月桃という新品種の桃を発見して、その苗木を地域住民に頒(はん)布(ぷ)して綱島を桃の一大産地とした方です。『自治団体の沿革』(1927年)は、道太郎氏のことを「一村民をして永(えい)世(せい)世話の資源を得(え)せしめたる功(く)徳(どく)は、其(そ)の分量の大、千万部写(しゃ)経(きょう)に勝(まさ)ること幾千なるや知るべからず」と最大限の賛辞で紹介しています。
道太郎氏の跡を継いだのが、三男の陸(りく)朗(ろう)氏です。陸朗氏は、若いときに横浜の貿易商に勤めていました。大正11年(1922)頃に、そこの社長からカメラを譲り受けました。大正から昭和前期の綱島を写した古い写真、その大半は陸朗氏が撮影したものです。
陸朗氏の写した貴重な写真は、これまでに様々な冊子で数多く紹介されていますが、池谷家にはその元になった分厚いアルバムと170枚ものガラス乾(かん)板(ぱん)が大切に保存されていました。筆者は未見ですが、当時のカメラも保存されていると伺いました。陸朗氏の写真を保存し、地域のために惜しげもなく提供されたのが陸朗氏の跡を継いだ光朗さんでした。自己の利益よりも、地域の発展のために尽くした道太郎氏と同じ想いを共有されていたのだと思います。合(がっ)掌(しょう)。
楽しい話題もあります。以前に紹介した港北区のゆるキャラですが、その後もどんどん増殖しています。
第157回で「ミズキー」や「カモマン」を紹介しました。広報の港北区版では、ミズキーに加えて、2012年5月号から「ウメじい」が加わりました。最近は「うめじい」と名乗っているようですが、二人の関係は...?
新横浜名物「鴨(かも)まん」のキャラだった仮称「カモマン」は、2度目の名前募集により、昨年新横浜町内会宣伝キャラクター「かもねくん」となりました。「かもねくん」は、Facebookを始めたり、テーマソング「かもね?かもね!かもねくん」が作られたりと、元気いっぱいです。今年の新横浜パフォーマンスでは実行委員長に任命され、「キャラクター文化祭」での活躍が期待されましたが、雨天中止となり、残念でした。来年に期待です!
第158回では「どぼくねこ」を紹介しましたが、その時は港北区内のキャラなのか確認が取れなくて紹介出来なかったのが、いつも仲良し「コーン夫妻」。「どぼくねこ」は、はまれぽ.comに取り上げられたり、公園の平和を守るアイゴレンジャーと共にYouTubeに動画がアップされたりと大活躍です。「コーン夫妻」の今後にも注目しましょう!
各地区の地域ケアプラザでも、2011年に樽(たる)町(まち)の「たる坊としょうぶちゃん」、新(しん)吉(よし)田(だ)の「にこにこっち」、2013年に大(ま)豆(め)戸(ど)の「まめっち」が誕生しています。地域ケアプラザとは、誰もが住み慣れたまちで、安心して暮らせるための拠点として、地域の福祉・保健活動を支援し、福祉・保健サービス等を提供する施設です。現在区内に8か所ありますが、平成26年(2014年)4月に9館目が新(にっ)羽(ぱ)駅前にオープンする予定です。
新横浜に本社がある株式会社日本アクアの「ウレタンマン」は、同社のFacebookやTwitterやなどで活躍中です。
2011年4月から始まった地域通貨「梅さんの輪」のキャラクター「梅さん」は、大倉山の梅(ばい)林(りん)の梅をモチーフにしています。どんどん増えていくゆるキャラが、もっともっと楽しい港北区にしてくれそうです。
「わがまち港北」も満15年、180回となりました。16年目もよろしくお願いいたします。
記:平井 誠二(大倉精神文化研究所研究部長)