共催 公益財団法人大倉精神文化研究所・岡倉天心市民研究会


 

公 開 講 演 会 (終 了 分)


第3回

 美術雑誌『国華』の創刊と岡倉天心

 

角田 拓朗(神奈川県立歴史博物館主任学芸員)

 

岡倉覚三(天心)の業績は多岐にわたりますが、そのなかでもひときわ注目されるものとして、美術研究雑誌『国華』の創刊が挙げられます。明治22年(1889)に創刊された同誌草創期の編集方針は、日本のみならず東アジア、東洋という広い視野にたったもので、天心の思想を直接的に反映したものとしても知られています。しかしながら、具体的な史料が乏しかったことにより、同誌創刊の背景について論じられる機会はほとんどありませんでした。

しかし近年、天心とともに『国華』を創刊した高橋健三(たかはしけんぞう)の史料が世に出たことにより、その研究が大きく進展しました。今回の講演ではその研究成果を踏まえ、天心と高橋の関係に焦点をあてつつ、『国華』草創期の経営に果たした天心の役割をご紹介します。

  

 日時:平成29年11月25日(土)

 会場:菊名地区センター

        〒222-0011 神奈川県横浜市港北区菊名6丁目18−10

 時間:午後3時~午後4時30分(受付開始午後2時20分、開場午後2時40分)
 定員:40名(入場無料、予約なし当日先着順)



 

第2回

初子と天心の物語り

中村 愿(作家)

 

九鬼隆一夫人初子と岡倉覚三(天心)は、若いころ深い恋に陥りました。三歳年上の初子にはすでに三人の児があり、文部省に就職して間もない覚三もまた一児の父でしたが、ふたりは如何なる縁か出遇ってしまったのです。

かくして初子は、離婚に応じない夫と家制度を死守する一族郎党との闘争を繰り返しつつ、また覚三は破滅の淵にあった日本美術の復興に全力を傾注しながら、ふたりは激しい道行きを重ねていきます。しかしその果てに痛ましい悲劇が待ち受けていたことを、いったい誰が予想しえたでしょう……。

岡倉覚三が東京藝術大学や日本美術院の生みの親であり、名著『東洋の理想』や『茶の本』などの著者であることは世界的に知られています。また太平洋戦争において彼のことば“Asia is one.” が、日本の侵略に悪用されたことも忘れてはなりません。

近来、岡倉についての研究が進んでいるでしょうが、過去の岡倉論についての検証が充分なされないままになっている気がします。そこであえて一度、初子と覚三の日常における人間としての生き様に、焦点をあててみようと思うのです。

 

日時:平成28年11月26日(土)

時間:午後2時~午後3時30分(受付開始午後1時40分~)

会場:横浜市大倉山記念館ホール

定員:50名(入場無料、予約なし、当日先着順)

 


 

第1回

岡倉覚三・天心と弟・由三郎

清水恵美子(茨城大学社会連携センター准教授)

 

岡倉覚三(天心)の弟に、言語学と英語学を修め、東京高等師範学校などで教鞭を執った岡倉由三郎(よしさぶろう・1868~1936)がいます。由三郎は、英語でThe Japanese Spirt(1905年)の出版や、米国ボストンでの講演を通して、西欧に日本文化を紹介する活動も行ないました。これまで由三郎の著作や活動を美術や芸術思想の視座から分析し、二人の共通性を双方向的に照射する研究はなかったと言って良いでしょう。由三郎の視点から覚三を見ることは、単に伝記的な意味を越えて、これまで見落としていた重要な何かを浮かび上がらせるはずです。

そこで本講演会では、幕末維新期から戦時中に至る兄弟の生涯を時系列に追いかけます。兄の人生を主軸に、弟の人生とパラレルに照応させ、時折交錯し、影響し合う二人の関係性を詳らかにしたいと考えています。

 

日時:平成27年12月5日(土)

時間:午後2時~午後3時30分(受付開始時間午後1時40分~)

会場:横浜市大倉山記念館ホール

定員:80名(入場無料、予約なし、当日先着順)