『楽・遊・学』平成22年1月号原稿

シリーズ わがまち港北

第133回 お年始に地産の銘菓

 

正月1日から7日までは、横浜七福神(第47・48回参照)のご開帳です。これにあわせて、港北区区民利用施設協会で、昨年12月に横浜七福神めぐりの手ぬぐいを発売したところ、七福神めぐりをする方だけでなく、多くの方々から「手土産(てみやげ)にちょうどいいから」と、予約が集まり評判になっています。年始のご挨拶に伺うときに、地域の歴史や文化にちなんだ品物を手土産として持参するのはよいですよね。そこで、そうした菓子を紹介しましょう。
日吉本町の“新若松”は、「つり鐘最中(つりがねもなか)」が有名です。10数年前、近くの金蔵寺(こんぞうじ)第34世住職だった内田大亮(うちだだいりょう)氏が新若松の先代店主に相談して出来た最中です。城田九一(しろたくいち)氏の調査によると、金蔵寺では、戦争中に供出(きょうしゅつ)した鐘の代わりとして昭和26年(1951年)に大亮氏が誓願寺(せいがんじ)(府中市、元は浅草)から購入したものです。この鐘は慶長8年(1603年)に徳川家康・秀忠が関ヶ原の合戦の死者を弔(とむら)うために鋳造(ちゅうぞう)した鐘が原型で、それを元禄14年(1701年)に5代将軍綱吉が母桂昌院(けいしょういん)の病気平癒(へいゆ)を願って大きく鋳直(いなお)したものです。芭蕉(ばしょう)が「花の雲鐘は上野か浅草か」と詠(よ)んだのは、この鐘の音(ね)ともいわれています。新若松では、他にも「日吉っこ」「日吉ロマン」「日吉の丘」などがあります。
慶應義塾大学の創立150年記念式典は、2008年11月8日に日吉キャンパス陸上競技場で挙行されました。日吉キャンパス内の生協には、「慶應クッキー」「慶應ミルフィユ」「慶應キャンディー」があり、誰でも買えます。
第63回で、綱島温泉を発見した樽町の加藤順三氏の“杵屋(きねや)”で「ラヂウム饅頭(まんじゅう)」を売り出し、綱島駅前の“新杵(しんきね)”では「ラヂウムせんべい」を売り出し、名物になっていたことを書きました。この新杵、『横浜港北新報』(1964年9月17日)によると、安政(あんせい)5年(1858年)に綱島で創業し、明治35年(1902年)に屋号を新杵としたのだそうです。
綱島東の“や満田(やまだ)”は、昭和11年(1936年)の二・二六事件当日に雪の降る中で開店したという歴史の長い店で、「鶴見川」「つなどら」があります。綱島西の“ヴェルプレ”では「綱島市民の森」「ひのきの森の木もれび」「綱島公園のどんぐり拾い」「綱島のパデュ通り」「鶴見川の今・昔」「大綱橋の帆船」「諏訪神社の階段で」「綱島バリケン島」「桃雲台からの眺め」「綱島西一丁目の展望」の10種類があり、『綱島物語』として箱入りにもなります。綱島の地理や歴史をよく調べて作られたお菓子です。両店とも『TRネット通信』で紹介されたことがあります。
“大倉山青柳(あおやぎ)”は、港北区制70周年アニバーサリー銘菓「浜梨物語」を発売していますが、これは港北産の浜梨を使ったものです。また、大倉山青柳では以前から「大倉山の梅最中(うめもなか)」が有名ですが、ラベルには梅林(ばいりん)と大倉山記念館が描かれています。
大倉山商店街振興組合では、昨年の大倉山観梅会で、5軒の菓子店のスイーツを集めた「大倉山梅づくし」を発売して大好評でした。今後も販売してほしい逸品でした。また、大倉山では、昨年4月から放送が始まったテレビアニメ「夏のあらし!」とタイアップして、「夏のあらし!の舞台は大倉山」のキャッチコピーで町おこしをしています。昨年11月7日、住居表示完了記念イベントがおこなわれ、駅前では記念プレート除幕式があり、大倉山振興会館横には「夏のあらし!ブース」が設けられました。大倉山の“わかば”はこの日から「夏のあらし!サブレ」を売り出しました。わかばには、「大倉山小梅」「大倉山散歩」「花水木」といったお菓子もありますし、「太尾育ち(ふとおそだち)」は町名変更で無くなった太尾の地名を後世に伝えるお菓子です。横浜市経済観光局が、地域に根ざした商店街のお土産を募集して、昨年6月21日に「街なか ちょい土産」10品が認定されましたが、その中にわかばの「カフェオレ大福」が入っています。
新横浜町内会が、鶴見川近くにあった鴨場(かもば)にちなんで考案したのが「鴨まん」です。2004年から新横浜パフォーマンスで販売していますが、2008年の新横浜駅キュービックプラザオープン後は、“グランドショップ新横浜”にもあります。
小机町の“折本屋(おりもとや)”は、「小机チーズ」が評判ですが、「小机城址太鼓(こづくえじょうしだいこ)」「小机城址の森」といった小机城址をモチーフにした菓子や、「小机とうふ」「小机の詩(ポエム)」などもあります。以前は「たまちゃん饅頭」もありました。折本屋は昨年4月6日の『神奈川新聞』に紹介されており、「城山の月」という菓子もあるようですが筆者は未見です。
地産地消とか町おこしが叫ばれています。農産物に限らず、お土産(みやげ)の菓子も地産にすれば町おこしになりますし、地域の歴史や文化、伝統、地理などにちなんだ菓子なら、相手の方と話が弾むのではないでしょうか。筆者は食べることにあまり執着がないので、これぐらいしか知りませんが、港北区内にはまだまだ多くの銘菓があると思います。皆様からの情報で、続編が書けると楽しいですね。本年もよろしくお願いいたします。


記:平井 誠二(大倉精神文化研究所専任研究員)

 

 

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