『楽・遊・学』平成23年3月号原稿

シリーズ わがまち港北

第147回 未来図書館コーホク  -さらに豊かな区民文化の創造を目指して-

 

昭和62年(1987年)8月、港北区役所区政推進課から『未来都市コーホク-港北まちづくり白書-』という本が刊行されました(第132回参照)。この本を見ていて、ある区民の方の記述が目に留まりました。
数年前、やっと地区センターと図書館が設置された時の本当に嬉しかったこと。ようやく、豊かな文化的生活をするための機会が増えつつあるようです。それも区ができてから40年もかかったのです。
この本の中で、図書館に関する記述はこの1ヵ所だけです。当時は、図書館が出来たことの喜びが大きく、新しいまちづくりに図書館を積極的に位置づけていくという発想はなかったのでしょうか。
かつて横浜市内には中央図書館1館しかなく、これを憂えた市民は「横浜市に図書館をつくる住民運動連絡会」を結成し、様々な活動を通して図書館建設を訴えかけました。そうした活動が実って、昭和55年(1980年)に港北図書館も開館しました。横浜市に図書館をつくる住民運動連絡会は、開館直後に見学を行い、「1番の印象は明るく親しみやすい図書館ということでした。改装という制約を逆に活かして利点にしているのには感心しました。例えば閲覧室がゆったりしていること、窓が多くてとても明るいこと、書庫がかなり広くとれていることなどです。」と会報第23号に感想を書いています。それから31年、図書館の蔵書数も利用者数も格段に増えました。バリアフリーなど市民の意識も大きく変わり、港北図書館は狭くて使いにくいとの意見も増えています。
港北図書館は、区役所として建てられた時から数えると築50年を超えた建物ですが(第124回参照)、横浜市は2015年度までに耐震・長寿化の工事を行うことを計画しています。昨年7月15日号の『タウンニュース』港北区版には、「港北図書館友の会」が、耐震補強より立て替えをして欲しいとの要望書を市へ提出したとの記事が掲載されました。
港北図書館友の会は、昨年6月に発足した団体で、前号の『楽・遊・学』に「みんなで港北図書館を、文化の香り高いすてきな図書館にしませんか?港北図書館が抱える問題の解決や将来の姿についての議論など、さまざまな活動を展開中です」との紹介が載っていました。友の会では、「未来図書館プロジェクト」と名付けて、未来の港北図書館のあるべき理想の姿を考え、市へ提案しようとしています。
岐路に立つ港北図書館は、どのように変貌していくのでしょうか。実は、「あなたのお役に立つ港北図書館」へ向けて、すでに様々な試みが始まっています。昨年6月に設置された「暮らし・おしごと情報コーナー」に続いて、3月中に「あなたの健康を守る情報コーナー」(仮称)が新設されます。2月1日からは、図書館2階へ行くのにエレベーターが自由に使えるようになりました。
港北地域のことを書いた本、著者が港北地域の人や団体である本、そうした地域資料の収集にも積極的に取り組んでいます。港北図書館では、「地域の本で図書館に入っていないものをお持ちの方は、よろしければ図書館へ寄贈してください。情報提供だけでも構いません。」と呼びかけています。
また、港北・都筑・緑の3図書館は、協力して地域写真のデータベースを作る事業を始めています。先日、区役所の行政資料庫から昔の写真パネル100枚セット(6枚欠)が見つかり、港北図書館へ移管されましたので、港北図書館では、手始めにこの写真パネルのデータベース化へ向けた調査に着手しました。港北図書館では、「地域の本だけでなく、古い写真を持っている方もぜひ提供してください。」と呼びかけています。
ボランティアの活動も始まりました。図書修理のボランティア講座が開かれ、大勢の方が参加されて傷んだ本の修理を始めています。「きれいにし隊」と名付けられた書架整理ボランティアはまだ募集しています。先日、筆者も体験してみましたが、懐かしい本や知らなかった本に出会い、図書館への認識を新たにする興味深い体験でした。
10年後、20年後の港北図書館はどのように変貌しているのでしょうか。

 

記:平井 誠二(大倉精神文化研究所研究部長)

 

 

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