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大倉精神文化研究所

横浜市港北区地域の研究

第198回 公園と植物と愛護会

2015.06.01

文章の一部を参照・引用される場合は、『わがまち港北3』(『わがまち港北』出版グループ、2020年11月)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。


最近、公園や植物に関する話題が4つ、目に止まりました。

1つ。下田町(しもだちょう)四丁目公園鳥の広場にある「BIRD」や、松の川緑道の「爬虫類(はちゅうるい)」などの彫刻で馴染みの深い彫刻家、田辺光彰(たなべみつあき)さんが3月に亡くなられました。光彰さんは野生稲自生地の保全運動でも著名な方でした。昨年11月に日吉の森庭園美術館をオープンされたので、美術館のコンセプトの1つである「野生植物の保護」について改めてお話を伺いたいと思っていた矢先でした。合掌。

2つ。第123回で「小机(こづくえ)」という名前のサクラソウを紹介しましたが、その記事を読まれた金沢区の座間泰雄(ざまやすお)さんが、「小机」の鉢植えをくださいました。筆者は初めて現物を目にしました。サクラソウは花の色と形に変化が多いのですが、「小机」は濃い桜色の花で、その名の通り桜の花びらのような花弁を付けており、横浜緋桜(ひざくら)(第75回参照)を連想しました。TRネットの臼井義幸(うすいよしゆき)さんのご尽力により、小机にある鶴見川流域センターで展示をしていただきました。

3つ。大倉山駅から梅林へ向かう記念館坂に植えられている桜並木について第191回で紹介しましたが、幹に付けられた掲示によると「幹に腐朽(ふきゅう)部分が見られ、強風等で、倒木の恐れがあるため」、今月中に伐採されるようです。昭和21年(1946年)から今日まで大倉山の発展を見守りつづけ、憩(いこ)いを与えてくれた桜たちに感謝です。

4つ。大倉山公園では、地域の方々が集まって年に2回花壇の花植えをしています。次回は、今月23日を予定していますが、その大倉山公園で今年2月に公園愛護会が発足し、筆者も会員になりました。

そこで、公園とその愛護会について調べてみました。

現在、港北区内には緑道を含めて166の公園があります。その内の4ヵ所(岸根公園、新横浜公園、大倉山公園、菊名桜山公園)は北部公園緑地事務所(神奈川区の三ツ沢(みつざわ)公園内)の管理で、その他の公園は「身近な公園」として港北土木事務所(大倉山七丁目)が管理しています。かつては、北部公園緑地事務所がすべての公園を管理していましたが、大半の公園は平成17年(2005年)に港北土木事務所へ移管されました。

50年程前の港北区域は農地・樹林地が約90%を占めていましたが、最近ではわずか13.8%(2008年)まで減少しています。横浜市全体では15.4%ですから、いつの間にか市内でも緑が少ない区になってしまったのです。そうした中で、公園は貴重な緑地です。地元の公園はいつもキレイで生活に潤いを与えてくれます。誰がキレイにしてくれているのでしょうか。それは市の職員の方々と公園愛護会の皆さんです。

そこで、港北土木事務所で教わり、『港北公園愛護会ニュース パルケ』を見ました。「パルケ(parque)」とは、スペイン語で「公園」という意味です。『パルケ』を見ると区内の各公園のこと、愛護会の活動、わくわくKサポーター養成講座、公園愛護のつどい等の記事がありました。ちなみに、Kサポーターの「K」は、「港・北区を公・園から幸・福にする」という活動目的の頭文字をとったものだそうです。

4月発行の最新第25号には「港北区の公園愛護会あれこれ」と題して、様々なデータがまとめられています。全166公園の内、公園愛護会が結成されている公園は156。結成率96%は市の平均約90%を上回っています。通常は1公園に1愛護会ですが、新田(にった)緑道だけはブロック毎に8愛護会が結成されているとか、複数の愛護会長を兼任している方が22名もおられるとか、興味深いです。『パルケ』はインターネットでも閲覧出来ます。

公園愛護会は、公園の清掃活動や花植えだけではなく多彩な活動をしています。たとえば、カーボン山桜まつりは菊名桜山公園愛護会が主催しています。カーボン山は菊名桜山公園の通称です。綱島桜まつりは、綱島公園愛護会が後援しています。新羽丘陵公園では、花の里づくりの会・新羽町連合町内会・新羽丘陵公園愛護会が、新羽小学校の卒業記念として植樹祭をしています。新羽丘陵公園愛護会は、5月30日に「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受けました。

近所の公園でどんな活動がなされているか、調べてみると楽しいかもしれませんね。

港北区内で一番新しい愛護会は、今年3月に結成された師岡町(もろおかちょう)公園愛護会です。では、最も古くから活動している愛護会はどこなのでしょうか。横浜市の公園愛護会制度は、全国に先駆けて昭和36年(1961年)にスタートしましたので、その頃に結成された愛護会があるかと探しましたが、筆者には分かりませんでした。ご存じの方がおられましたら教えてください。

記:平井 誠二(公益財団法人大倉精神文化研究所研究部長)

(2015年6月号)

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