第12回 富士食品工業─大倉山はじめて物語、その4─
- 2017.03.15
文章の一部を参照・引用される場合は、『わがまち港北3』(『わがまち港北』出版グループ、2020年11月)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。
手軽でおいしい即席ラーメン、筆者も大好きですが、その背景に大豆戸町の会社が開発した技術があることをご存じですか?
旧綱島街道沿い、区役所前交差点を南に少し進むと富士食品工業という会社があります。初代社長の松倉賢治氏は、終戦直後にインドネシア領レンパン島の収容所で食事として出された固形スープの素に大きな感銘を受け、帰国後その開発に取り組みます。そして昭和27年、国産初の固形コンソメスープの製造に成功します。
昭和33年、富士食品工業を設立した松倉氏は、麺用粉末スープを開発し、それまでは麺にスープを染みこませて味を付けるのが主流だった即席ラーメンに、今では定番となった別添スープという新しい形を提案しました。しかもその技術を無料で公開し、業界の発展に貢献します。
他にも、家庭用オイスターソースや粗挽き唐辛子調味料など、富士食品工業が生み出した日本初はまだまだあります(家庭用商品の販売は2019年9月末で終了)。私たちの食生活を豊かにしてくれる新しい技術、新しい商品の開発に今後も注目していきたいです。(H.H)
(2017年3月号)