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大倉精神文化研究所

横浜市港北区地域の研究

第30回 タルは樽? 垂る?─地名のナゾ、その4─

2018.09.15

文章の一部を参照・引用される場合は、『わがまち港北3』(『わがまち港北』出版グループ、2020年11月)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。


 樽町の「樽(タル)」の地名の由来は何でしょうか?
 3つの説があります。
 1番有名な説は、御神酒の樽です。師岡熊野神社に献上する御神酒の樽を作っていたから、あるいは御神酒の入った樽を献上していたからという説です。樽というと、胴が脹らんでいて鉄のたがで締めた洋樽を連想しますが、昔の献上用の酒樽なら、竹のたがで締めて菰をかぶせた菰樽か、角樽だったのでしょうね。
 2番目の説は、鶴見川の洪水です。地区の北側に鶴見川が流れていますが、昔はその鶴見川がよく氾濫していました。一度氾濫すると村中が水浸しになってしまい、まるで樽に水を張ったようにいつまでも水が引かなかったことから名付けられた、というものです。
 3番目の説は、水が流れ落ちるという意味の「タレル(垂れる)」の古い形「タル」の語に、樽の漢字を当てたという説です。地区の南側には丘陵が切り立っています。そこからわき水が滝のように流れ出ていることから名付けられたというものです。
 どの説が正しいのでしょうか、実はよく分かりません。(S.H)

(2018年9月号)

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