閉じる

大倉精神文化研究所

横浜市港北区地域の研究

第56回 大蛇で悪疫退散

2021.02.15

文章の一部を参照・引用される場合は、『大倉山STYLEかわら版!』(令和3年2月号)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。


 愛知県西尾市の岩瀬文庫から、悪疫退散の「姫魚図」というのを教えていただきました。姫魚(ひめうお)は200年ほど前に九州の平戸の浜に現れて、これからコロリ(コレラ)が流行ると予言して、自分の姿を絵にして家に掲げればコロリ除けになると伝えたのだそうです。どんな魚か興味がある方はこちらからどうぞ。
 医学の発達していなかった昔は、悪疫(感染症、疫病)の原因が分からず、その流行は人々にとって死活問題で、おまじないをするくらいしか対策がありませんでした。
 悪疫退散のおまじないとしては、昨年「アマビエ」が有名になりましたが、実は港北にもおまじないがありました。
 大曽根では、近隣の村に悪疫が発生すると村境の道端の木にワラで作った大蛇を巻き付けて、大蛇に悪疫を食べさせて村への侵入を防ぎました。たらふく悪疫を食べたワラ蛇は、お腹が腐ってしまいます。
 新羽町中之久保の「注連引き百万遍の大蛇」や、師岡熊野神社の「しめよりの神事の大蛇」は、それが年中行事になったものでしょう。菊名や篠原にもあったようです。新羽の大蛇は昭和16年頃に、師岡の大蛇も昭和32年頃に途絶えました。しかし、新羽では、昭和54年に大蛇作りを復活させ、昭和58年には横浜市無形民俗文化財に指定されました。平成9年には注連引き百万遍保存会も発足しています。
 おまじないに科学的根拠はありませんが、今でも不思議と私たちの心を落ち着かせてくれるので、冷静な行動をとる上で役に立つと思います。(S.H)

DSC09333.JPG

「新羽小学校に飾られた注連引(しめひ)きの大蛇」
最近は毎年10月頃に新ワラで大蛇を作っていますが、昨年秋はコロナ禍で中止され、
写真のヘビは1年3ヵ月ほど経たものです。
新型コロナウイルスを沢山食べたのでしょうか、
お腹だけでなく全身が腐りそうになっています。

(2021年2月号)

大好き!大倉山の記事一覧へ