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大倉精神文化研究所

横浜市港北区地域の研究

第70回 全国のこうほく、おおそね、たる―地名のナゾ、その6―

2022.06.15

文章の一部を参照・引用される場合は、『大倉山STYLEかわら版!』(令和4年6月号)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。


 先日、肥前の国佐賀県へ出張したのですが、JR長崎本線の肥前山口駅が九州新幹線(武雄温泉・長崎間)の開業日に合わせて9月から江北駅(こうほくえき)と改称されることを知り合いの方から教えていただきました。調べてみましたら、所在地が江北町山口なのですね。
 漢字が違うので、それならばと、そのものズバリの港北駅を探しました。なんと、今年(2022)3月に名古屋市のあおなみ線に港北駅が誕生していました。所在地は港区正保町ですが、近くに港北町があります。
 「こうほく」地名はこの他にも全国にあり、港北(北海道室蘭市)、江北(東京都足立区)、更北(長野県長野市)、交北(大阪府枚方市)など様々な漢字で表記されています。
 面白いので、配達エリアの町名も調べてみました。
 まず大曽根ですが、現在正式には「おおそね」と読みますが、古老の方を中心として「おおぞね」と言われる方も大勢おられます。地名の由来はよく分かりませんが、「そね」とは河川氾濫で浸食を受けながら残った丘、あるいは自然堤防、石が多く痩せた土地といった意味があります。「そね」という言葉が先にあって、漢字の曽根をあてたものです。高知県南国市では、「そね」に「埇」の字をあてて大埇と書きます。大は、その程度が甚だしいことを表す接頭語です。
 大曽根(おおそね)は山形県山形市、埼玉県八潮市、岡山県岡山市にあります。三重県尾鷲市には大曽根浦があります。大曽根(おおぞね)は茨城県つくば市、千葉県袖ケ浦市、新潟県新潟市、山梨県上野原市、愛知県名古屋市などにあります。こうした地形の場所が全国にあることが分かります。
 余談ですが、前回、大倉山は西側の新羽寄りを下(しも)と呼ぶと書きましたら、大曽根は逆に新羽寄りを上(かみ)と呼ぶと読者の方から教えていただきました。町内会の名称を見てみますと、確かに西端に上本町会、上町会がありました。
 樽の地名の由来については第30回で書きましたが、水が流れ落ちるという意味の「タレル(垂れる)」の古い形「タル」の語に、樽の漢字をあてたという説があります。地区南側の丘陵からわき出た水が滝のように流れ落ちていることから名付けられたというものです。
 樽は珍しい地名のようです。全国にもう1ヶ所だけ、群馬県渋川市にありました。利根川沿いで、赤城山麓の崖下にある地名で、崖を流れ落ちる急流が滝のようになっていることから名付けられたそうですから、同じ由来ですね。
 岡山県真庭市の足(たる)温泉は、傷ついた兵士の治療のために温泉を樽詰めにして送った故事から樽(足)温泉と名付けられたそうです。綱島温泉は樽町で発見されましたので(第32回参照)、世が世なら樽温泉と呼ばれていたかも知れないと考えると、なんだか縁を感じます。続きは次回に。(S.H)

大曽根交差点.jpgかつて、大曽根交差点の所在地は大曽根でした。
しかし、1982年に住居表示が実施された時に町境を綱島街道の西端に移したため、
それ以来樽町一丁目になっています。

(2022年6月号)

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